そもそも認定支援機関とは?
こんにちは。熊本の中小企業診断士、経営コンサルタントのLEPコンサルティングです。今回は中小企業診断士が認定支援機関として登録すべきか?についてお話をします。
そもそも認定支援機関とは、正式名称を認定経営革新等支援機関といい、中小企業庁が認定・登録を行います。まずは中小企業庁のHPに書いてある内容を確認してみましょう。
認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を、経営革新等支援機関として認定することにより、 中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するものです。
出典:中小企業庁
説明を見ると『中小企業に対して専門性の高い支援を行う』の文面などは、まさしく中小企業診断士に求められる役割・能力のように思えます。
経営コンサルタント唯一の国家資格である診断士が、改めて認定支援機関の登録を受ける必要性があるのか疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
現実的な問題としては、認定支援機関でなければ国の補助事業である経営改善計画策定支援事業(通称:405事業)の計画策定の外部専門家として認められません。
では認定支援機関は診断士にとって、405事業を行うためだけに必要な登録制度であり、本質的には無用の長物なのでしょうか。
結論から言うと、認定支援機関は中小企業の支援実務能力を向上させる上でも必要な知識・スキルであり、診断士も是非登録することをお勧めします。
認定支援機関で得られる知識とは?
そもそも、診断士で学ぶ支援スキルと、認定支援機関で学ぶ支援スキルにはどのような違いがあるのでしょうか?
認定支援機関が計画策定を行う405事業では金融支援を前提としていることから、診断士で学ぶ事業計画とはまた異なった目線、ステークホルダー(主に金融機関)を納得させる合理性が必要となります。
つまり、財務だけではなく『税務・金融』という目線が不可欠となるのです。例えば…
- 抜本再生を行う際の繰越欠損金、期限切れ繰越欠損金の利用
- 債権者の債権放棄額が損金算入できるか(過剰支援の確認)
- 経済合理性の考え方や経営者・保証人責任の追及について
個別の詳しい説明は省きますが、中小企業基盤整備機構のHPに詳しい資料も公開されていますので、下記リンクより一度熟読されることをお勧めします。(診断士の知識だけでは困難なことが分かると思います…)
https://www.smrj.go.jp/tool/supporter/regional2/index.html
どうしても診断士の学習内容は企業の経営に関する知識に重点が置かれているため、中小企業にとっての最大のステークホルダーと言っても過言ではない、金融機関向けの知識は手薄になります。
窮境に陥った中小企業を支援するという診断士にとって課せられた1つの使命を全うするには、やはり認定支援機関として登録すべきでしょう。
中小企業診断士のあり方
冒頭に述べたように、本質的な役割としては認定支援機関と診断士は重複しており、診断士が改めて認定支援機関に登録しなければならないのはおかしい、というよりは恥ずかしい話であると感じます。
個人的には認定支援機関のカリキュラムも、診断士の試験範囲や実務補習に追加するなどして、診断士の登録と同時に認定支援機関に登録されることが望ましいと考えます。(負担度合は増えて、難関資格に仲間入りするかもしれません…)
むしろ、そうでなければ何を持って「経営コンサルタントの唯一の国家資格」と言えるのでしょうか。アンチテーゼになってしまいますが、現実は「社会人に丁度良いレベルの自己啓発資格」になっていると感じます。
学位として経営学を収めるのではなく、その資格の名称の通り中小企業に特化した支援を志すならば、実務で必ず直面する金融機関との調整や金融支援を受けるための合理的・実現的な計画策定は学びたいところです。
金融機関出身の診断士で、この手の内容を得意とする方であっても、改めて勉強すると発見があるかもしれません。特に、金融常識が変わるスピードは非常に速いので、アンテナを張り、情報収集に努める必要があります。
私個人の診断士のあり方として、このブログでもあまり試験的な要素ではなく、実務的な内容を発信していきたいと思います。次回はリスケジュールの考え方について触れようと思います。